三十年程前、私たちが結婚して東京の三鷹に住んでいた頃、二人とも動物好きのためよく近所のペットショップを覗いていました。そこは小鳥などを扱っている小さなお店でしたが、ある時柔らかく長い毛を吻と四脚に付け、背中などは銀色のビロードのような短い毛で被われた子犬がこの店のケージの中に入っているのを見つけました。その子犬はまるでぬいぐるみのように信じられないほどきれいで完璧な形をしていて、私たちは驚いてしまいました。私たちが住んでいたマンションでは犬を飼うことができませんでしたで、いつかあんな犬を飼ってみたいと二人で夢見たものです。動物好きの私たちですので一般的な犬種であれば知っていましたが、当時のミニチュア・シュナウザーはまだまだ珍しくこの犬種の存在を全く知りませんでしたので、より深く印象に残ったことを覚えています。これが私たちにとって生まれて初めてミニチュア・シュナウザーに会った瞬間です。
私たちの見たこのシュナウザーは、今その記憶をたどるとバリカンでトリミングされた子犬で、まだ子犬なのに銀色の明るい毛並みだったことと、その時には魅力的に感じた華奢でほっそりとした体形は、毛色の薄い貧弱なシュナウザーだったように今は想像できます。でもなんの知識も無かった当時の私たち二人にはこんなきれいで素敵な犬がこの世にいるのだと思い、いつかは飼いたいと多いに心ときめいたものです。